お見合いパーティー荒らし 結婚詐欺師の正体は「警察官の息子」

 女性に結婚を持ちかけてカードをだまし取ったとして、“青年実業家”の男が大阪府警に逮捕された。「自分たちは結婚するのだから隠し事があってはいけない。借金をきれいにしてあげる」。男は甘い言葉で女性からクレジットカードを巻き上げ、買い物などに約150万円を使っていたという。男はお見合いパーティーで知り合った女性をターゲットに、結婚を“餌”に同様の犯行を繰り返していたとみられ、天王寺署は被害の全容解明を急いでいる。結婚願望のある女性らの心をもてあそび、詐欺を繰り返した男の手口とは…。

「結婚を前提につきあって」

 大阪府警天王寺署に逮捕されたのは、外資系不動産投資会社の日本法人元代表、田中淳平被告(33)=住所不定、詐欺罪で起訴済み。

 捜査関係者によると、平成23年1月31日~2月1日、大阪府内の30代の女性に「結婚を前提につきあってほしい」などと持ちかけ、クレジットカード2枚、さらに3月17日にもう1枚をだまし取ったとしている。田中被告は預かったカードで約150万円分の買い物をしていたという。

 田中被告は女性とお見合いパーティーで知り合って、交際を始めた。交際をスタートさせて間もなく、田中被告は女性に結婚を切り出したが、その際、女性は借金を抱えており、田中被告に相談した。

 「僕の父は大阪府警の警察官だから安心して。クレジットカードを預けてくれたら借金をきれいにしてあげる」

 田中被告は言葉巧みに女性をだまし、クレジットカードを巻き上げたとされる。しかし、女性はクレジットカードが勝手に使われていることなどを不審に思い、5月に天王寺署に詐欺罪で男を告訴、犯行が発覚した。

お見合いパーティーで“ターゲット”物色

 その後の調べで、田中被告は同様の手口を繰り返し、ほかにも複数の女性からクレジットカードを預かったり、ものを買わせたりしていたことが判明した。知り合ったきっかけは、いずれもお見合いパーティーだったという。

 田中被告は、インターネットの通信販売会社や投資会社など複数の企業の代表取締役などの役員を実際に務めており、“青年実業家”としての顔をアピールしていたほか、父親が大阪府警の警察官をしていることなどを利用して、女性を信用させていたという。

 被害者は十数人にのぼり、被害額は約2億円。最高で、2600万円の被害に遭った女性もいるとみられる。捜査関係者は、「出会いを求めてお見合いパーティーに参加していた女性の中から、だましやすそうな“ターゲット”を物色していたのだろう」と推測する。

 田中被告は警察による取り調べの段階では当初、「だまし取っていない」と容疑を否認し、それ以降は完全な黙秘を貫いているとされる。。

大学在学中に起業

 捜査関係者によると、田中被告は大学在学中の平成9年ごろに貿易会社を設立し、事業をスタートさせた。捜査関係者は「幼いころから頭の良い子だったようだ。在学中に起業し、その後次々と新しい事業に進出した。青年実業家の顔も全くの嘘ではなかった」と話す。

 ただ、大学の友人らからは、「事業資金などの名目で金を借りたまま返さないことがあった」との証言も寄せられているといい、金銭をめぐるトラブルをたびたび起こしていた姿が浮かび上がる。

 その後、コンサルティング会社などを設立。インターネット上で紹介されるなど“青年実業家”として頭角を現していった。結婚詐欺に手を染めたマイナスの側面と、次々と新事業に進出する青年実業家としてのプラスの側面。田中被告には、双方の面が見え隠れする。

 田中被告は逮捕の際、東日本大震災の被災地、宮城県山元町の路上で身柄を確保された。その直前、周囲には「(東日本大震災の)被災者を相手にして、くつろげるような震災カフェを開くつもりだった」と話していたという。

 「震災カフェを名目に出資を募るつもりだったのか、もしくは被災者をだますつもりだったのか」

 捜査関係者は田中被告の意図を図りかねているという。ただ、新たな事業を開拓する意欲だけは、逮捕される直前まで衰えていなかったのかもしれない。

“婚活”ブームを逆手に

 田中被告はなぜ、結婚を切り出すことで、次々と女性をだますことに成功したのか。

 内閣府のまとめによると、平成23年の平均初婚年齢は男性30・5歳、女性28・8歳。平成元年の男性28・5歳、女性25・8歳に比べ、平均初婚年齢が男性で2歳、女性で3歳上昇している。

 こうした晩婚傾向の一方、全国で異性との出会いを求める“婚活”(結婚活動)はブームになっている。結婚相談業者だけでなく、人口の流出などを防ごうと、都道府県や市町村などの地方自治体が、お見合いパーティーを主催するケースも少なくない。

 経済産業省が平成19年にまとめたデータによると、お見合いパーティーなどを主催する結婚相談事業に携わる業者は3700~3900社で会員は約60万人。売上高は約500~600億円に上る巨大市場になっている。

 結婚する年齢は遅くなっているものの、“良い出会い”を求めて積極的に活動し、理想の結婚を実現するため、試行錯誤している傾向が浮かび上がる。

 そこに目をつけたのが田中被告だ。

 ある捜査関係者は「外資系の会社の社長で顔も良い。青年実業家として成功もしており、女性にとって結婚相手の条件としては申し分ない。婚活ブームを逆手に取り、ターゲットにされた女性が『離したくない』との心境に陥ってしまったのではないだろうか」と話す。

 大阪府警天王寺署は、結婚詐欺の被害がさらに膨らむ可能性もあるとみて、新たな被害者や被害額の割り出しなどを急いでいる。

2012.1.9 07:00元の記事

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