「振り込め詐欺」が巧妙化、高額化…個人情報の把握も

振り込め詐欺の手口がますます巧妙化している。“息子”の氏名や職業などの個人情報を詳細に把握した上でその人物になりきり、高齢の親などから現金をだまし取るケースも目立つ。被害の高額化も深刻だ。全国の警察の捜査過程で、さまざまな名簿類が相次いで押収されており、埼玉県警は、これらの名簿の情報が振り込め詐欺などに悪用されているとみて警戒を強めている。(中村昌史)

■巧妙に成りすまし

「風邪をひいて病院にいる。電波が悪いから繋がりやすい携帯電話でかけた」

埼玉県春日部市内の自宅にいた60代の女性は、“長男”からこんな連絡を受けた。長男の実名を正確に名乗り、会話によどみはない。しばらくすると、同じ携帯電話から連絡があった。

「患者とトラブルになってしまった。示談金が必要で弁護士と相談している」

長男の職業は医師。慌てた女性は、指示されるままに計500万円を振り込む。間もなく、女性はだまされたことに気づいた。

県警の調べでは、電話をかけてきた男に対し、女性は長男の職業などの個人情報を一切伝えていなかった。

この事件のように、被害者の周辺情報を詳細に把握し、家族などになりすまして現金をだまし取るケースは後を絶たない。犯人は、学校や企業、町内会などの名簿を悪用している疑いが強いという。

■氷山の一角

警察庁は今年度から、全国の警察が捜査過程で押収した「名簿」を集約し、記載されていた人の居住地などに基づき各警察に振り分けている。名簿のコピーが悪用され、新たな被害が発生するのを防ぐのが狙いだ。

「埼玉県警にも毎月、3千から4千件分の情報が全国から集まってくる」。捜査関係者はこう説明し、「押収されているのは氷山の一角ではないか。他にも多くのデータが流出し、悪用の危険にさらされている可能性がある」と話す。

県警は、これらの情報に基づき、捜査員らによる戸別訪問や電話、手紙などさまざまな方法で、地道に被害の「芽」を摘む作業を続けている。

捜査関係者は「個人情報が売買されている現実もあるなかで、『自分の情報が丸裸にされている』との認識は極めて薄いようだ」と警鐘を鳴らす。

■被害は“青天井”

県内での被害額1千万円以上の振り込め詐欺は、平成22年に3件発生し、最高額は1250万円だった。23年には19件に急増し、4千万円以上の被害が2件出た。今年もこれまでに18件発生し、最高で5千万円が詐取されている。

一方、警察官や金融機関の職員などを名乗り、キャッシュカードをだまし取って現金を引き出す詐欺事件も増加している。今年8月までに、だまし取られたキャッシュカードで1億8381万円が被害にあった。

県警のまとめでは、同月までの県内の振り込め詐欺事件は前年同期比で10件減り326件、被害総額は同比2億7635万円減少し6億4594万円だった。ただ、キャッシュカード詐取の被害を合わせると全体の被害額が大きく減少しているとはいえない。

振り込め詐欺に警戒を強める金融機関での入金を避け、被害者を路上に連れ出して直接、現金を受け取る手口も増えている。受け渡しのために東京都内まで連れ出された被害者もいる。

捜査関係者は「振り込め詐欺の手口は日々、巧妙・悪質になっている。手渡しによる詐取では、振り込み限度額の設定された口座と違い、被害が際限なく高額化する恐れがある」としている。

産経新聞 10月15日(月)13時51分配信

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