「私は騙されない」ほど危ない…急増する「特殊詐欺」、電話受ければ半数が被害の衝撃実態

 架空請求詐欺や還付金詐欺、金融商品取引名目詐欺など、振り込め詐欺のバリエーションともいえる「特殊詐欺」の被害が、今年に入って急増している。電話などを使ったこの手の犯罪は過去に幾つも犯人グループが検挙され、手口もある程度認知されてきたが、それでもだまされる人は後を絶たない。有効な防犯対策はないのだろうか。滋賀では県警が特殊詐欺の不審電話を受けた約100人にアンケートを行ったところ、驚くべき実態が明らかになった。回答者の半数近くが被害に遭い、9割以上が「自分はだまされないと思っていた」と答えるなど、犯罪への意識の低さが浮き彫りになったのだ。結果を受け県警は啓発活動の見直しを迫られている。

 ■「自分はだまされない」

 電話口で「おれだけど…」と身内を装うオレオレ詐欺に始まり、振り込め詐欺は年々手口が巧妙化している。最近は、ありもしない料金の支払いを迫る架空請求詐欺や、「手数料を支払うと税の還付が受けられます」と巧みにささやきかける還付金詐欺などが横行。振り込め詐欺やそれに類する詐欺は「特殊詐欺」と呼ばれるが、警察庁によるとそうした犯罪が急増している。

 滋賀県も今年に入って被害が相次いだ。県警生活安全企画課のまとめによると、1~7月の特殊詐欺の認知件数は76件(昨年同期比43件増)で、被害額は2億3600万円(同8900万円増)にのぼった。

 このうち、金融商品の取引を装った詐欺が20件と昨年同期の11件から倍に増えたほか、「ロト6の当選番号を教える」などとだます手口も3件から11件に増加するなど、詐欺の手法が多様化、巧妙化している。

 アンケートは、同課が今年6月中旬から7月上旬にかけ、不審な電話を受けた98人に対して行った。このうち47人は実際に詐欺被害に遭い、51人は被害を免れていた。また、「自分はだまされない」「詐欺について考えたことがない」と回答した人が合わせて92%もいた。

 特殊詐欺に対し警戒心が低く、「人ごと」と捉えている傾向が明らかになり、同課の川島聡課長も「これまで戸別訪問やリーフレットの配布などを行い、注意を呼びかけてきたつもりだったが、アンケート結果を受け、啓発方法を考え直さなければいけない」と話す。

 県警などが今年製作した啓発用のリーフレットでは、「オレオレ詐欺」「金融商品取引名目詐欺」など詐欺の種類を挙げ、「警戒すべき“だまし文句”」として「還付金がある」「裁判になる」などの言葉を22点紹介している。しかし、こうした注意喚起はあまり浸透していなかったことになる。

 ■あわや600万円の被害

 金融商品取引名目詐欺で600万円をだまし取られそうになった同県長浜市の女性(78)が取材に対し、自らの体験を語った。7月に証券会社の社員を名乗る男から自宅に電話があり、女性は「有価証券を扱っている。名義を貸してほしい」と迫られた。

 断ったものの、数日後に先の男や弁護士を名乗る男らが「2千万円を立て替え払いにしたので送金を-」「相手側は立て替え金を払わなければ警察に訴えると言っている。いくらなら用意できるか」などと次々と電話をかけてきた。不安にかられ、つい「600万円なら…」と答えてしまい、気がつくと自転車で近くの郵便局に向かっていたという。

 女性が携帯電話で話しながら現金自動預払機を操作している様子を郵便局員が不審に思って警察に通報したため被害に遭わずに済んだが、女性は「警察官から話を聞くまで詐欺だと全く気づかなかった。立て続けに電話があったので、家族に相談する余裕をなくしていた」と話した。

 ■だまされたふり作戦

 アンケートでは、金融機関で従業員らに声をかけられながら現金を振り込むなどして被害に遭った人が15%いた。「だまし方が非常に巧妙で、被害者が金融機関での説得になかなか応じないケースがあった」と同課。だまされないためには家族など身近な人の注意が有効だとみるが、被害者の70%は家族から詐欺について注意を受けたことがなかったという。

 こうした実態を受け、同課は高齢者宅の戸別訪問を強化。また「だまされたふり作戦」と称し、不審な電話を受けた人がだまされたふりをして警察に連絡し、犯行グループの摘発に結びつける捜査にも乗り出した。

 川島課長は「詐欺は、一定の地域ごとに同じ手口の犯行が多発する傾向にあるため、通報が効果的な啓発活動につながる。怪しいと思ったらすぐに警察に通報してほしい」と話してしている。

(大津支局 桑波田仰太)

 

産経新聞 9月7日(土)18時9分配信 元の記事

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